2016.09.10 世代が交わる街、川崎

開催概要

 

第5弾「世代が交わる街、川崎」のテーマは「多世代」です。街の再開発と共に人口が増加し、新旧世代が融合する街、川崎。そのような中、2015年には、当時、女子高校生だった那須野純花さんがグリーンバード武蔵小杉チームが立ち上げるなど、若い世代の活躍が注目されています。

 

  「とりあえずググった」 ワタシの政治、18歳の行動は

  http://www.asahi.com/articles/ASJ695DJPJ69UHBI010.html

 

若い世代だけでなく、これまでの川崎を支え、高度成長時代の「汚い」「怖い」等のイメージを一新して住みたい街に育て上げてこられた諸先輩方の思いや行動を今一度多くの方々に知っていただき、また、川崎市の10年後・30年後を見据えて2016年3月に策定された「川崎市総合計画」の理解を深めつつ、多世代が融合するからこその街づくりを参加者全員で探究しました。

 

<開催日時等> 

 

【日時 】2016年 9月10日(土) 12:00-15:30 

【場所 】NAGAYAかわさき 

【参加費】2,000円 ※ランチ・プレゼント付き (※1) 

【参加者】20名

【主催 】チーム「川崎モラル」

(※1) 参加費には、ランチ・プレゼント代の他に、会場レンタル費用、備品代、ドリンク代等が含まれます。 

  

<当日のプログラム>

 

12:00-12:20 「川崎モラル」プロジェクトの紹介

12:20-12:50 ランチ & 自己紹介

13:05-13:20 話題提供1 川崎市総合計画 (吉田史子さん)

13:20-14:20 話題提供2 ゲストスピーチ

 ・グリーンバード武蔵小杉チーム 那須野純花さん

 ・知っトコ!たかつ 越水隆裕さん

 ・川崎市副市長 三浦淳さん

14:20-14:50 話題提供3 パネルディスカション

14:50-15:15 ワークショップ

15:15-15:25 ゲストからの感想

15:25-15:30 クロージング


ゲストの紹介

  • 川崎市副市長 三浦淳さん
  • グリーンバード武蔵小杉チーム 那須野純花さん
  • 知っトコ!たかつ 越水隆裕さん
  • カワサキノサキ 長野誠さん

開催レポート

ランチワークショップ

【話題提供①】川崎市総合計画について (チーム川崎モラル 吉田史子さん)

「川崎市総合計画」とは

2016年3月に策定された「川崎市総合計画」。30年後のビジョンに向けて、これから10年間の政策を策定。PR版は16ページだけど、本書は600ページを超える内容。

 

川崎市総合計画について

http://www.city.kawasaki.jp/170/page/0000075895.html

 

 

30年後の未来って?

30年後を想像できますか?10年前を想像するのも難しい。例えば、今から10年前を振り返ると、まだ、iPhoneも登場していなかった。

これからの10年・30年は今まで以上のスピードで進化する。2045年問題と言われる「シンギュラリティ」。AI(人工知能)のアウトプットの総和が人間を超える。未来を想像するのは難しい。ただし、予想できる未来が唯一ある。それが人口。人口の推移を前提にした未来への備えはできる。

 

かわさき10年戦略

今後10年間の取り組みを7つの戦略としてまとめた。

戦略1:「みんなで守る強くしなやかなまち」をめざす

戦略2:「どこよりも子育てしやすいまち」をめざす

戦略3:「みんなが生き生きと暮らせるまち」をめざす

戦略4:「もっと便利で快適な住みやすいまち」をめざす

戦略5:「世界に輝き、技術と英知で、未来をひらくまち」をめざす

戦略6:「みんなの心がつながるまち」をめざす

戦略7:「チャレンジを続け、いつまでも活力あふれるまち」をめざす

 

「成長」と「成熟」が両立する街に

人をイメージするとわかりやすい。子どもから大人になる時は身体的に成長する。その後、色々なモノゴトに接して人間として成熟して成人になっていく。人生は成長の後に成熟があるが、街は成長と成熟を両立させながら持続的な存在として在り続けなければならない。

 

シビックプライド

みんなが街を好きになると街は加速度的に魅力的になる。川崎モラルのコンセプトである「モラルとルール」。ルールで縛るのではなく、一人ひとりのモラルによる街づくり。お互いを尊重し合って、川崎ブランドを育てていく。

 

結果よりプロセスが重視される時代

Instagramがブームになっている。街づくりのプロセスを行政と市民が一緒になって共有すること、楽しむこと。「こんな街ができました」という結果でなく、プロセスを重視すると「あんなことがあったり、こんなことがありながら、みんなで今の街をつくりました」という物語になる。

【話題提供②-1】キーノートスピーチ (グリーンバード武蔵小杉チーム 那須野純花さん)

大学に通学する以外に4つの団体で活動中

現在、19歳。高校2年生の時から川崎の街づくりを意識し、参加するようになった。

  • NPO法人グリーンバード武蔵小杉チームリーダー
  • マンフィーと青年基金NGO 学生スタッフ
  • NPO法人フェアトレード学生ネットワーク関東
  • 社団法人カワサキノサキ 

 

私の「街づくり」

自分の中で街づくりの定義がある。それは「街や地域を舞台に、その中で動く人と人がコミュニティーを作りながら住みやすい仕組みを作ること」ということ。参加している団体を敢えて「ツール」と呼んでいる。

 

「街づくり」のモチベーション

小学生から中学校までいじめにあっていた。いじめる人に会いたくないので川崎でなく、東京の高校に通学した。川崎が嫌いだっった。だけど、東京に行ってわかったことがある。実は川崎って良い所かもって。だからこそ、人と人が見える関係を築くことで、川崎をより良い街にしていきたい。そして、友だちをつくるためにボランティア活動を始めた。そうしたら友だちができるだけでなく、自分の視野が大きく広がった。

 

ボランティア活動から学んだこと

課題解決の楽しさを知った。自分のできる範囲で貢献できることを考える。自分のできる範囲、つまり、自分らしさを知ることもできた。自分が行動することで周囲にも影響がある。逆も同様。作用し合うことで課題解決が実現できる。

 

私たちの世代だからできること

学問とフィールドワークを融合させた視点で貢献できる。川崎の良い部分が見えていない人も多いはず。だからこそ、川崎の街と人の心を繋いでいきたい。そして、誰もが川崎の良い部分を感じられるようにしたい。

 

【話題提供②-2】キーノートスピーチ (知っトコ!たかつ 越水隆裕さん)

賃貸業(大家業)に押し寄せる世代交代の波

人口減少し始めた日本。約800万戸の空き家・空き室。人口増加している川崎市でさえ数十万戸の空き室・空き家がある。

経費や税金負担が増える中、一戸あたりの家賃収入が減少して従来のアプローチで賃貸業を続けるのは困難。

賃貸業の世代交代がされ始めて、30代・40代の二代目大家たちが新しい挑戦をしているのが現状。

 

Colouring Reform

~お部屋にカラーを。心に彩りを。~

部屋をビタミンカラーでリフォームし、彩りのある生活空間を提供。

スマホで住まい探しする際に目に止まるように。築年数・駅からの距離・家賃という選択基準を上回る価値を提供。

 

全てはコミュニケーションのために

入居者と大家のコミュニケーションを図るために、エントランスにチョークボードを置いたり、新聞を発行したり。入居初日からリラックスして生活できるように洗顔・タオル・歯ブラシなどをプレゼントしたり。さらには、毎月、ワインをプレゼントしたり。ただし、手渡しでないとプレゼントしない。手渡しすることでコミュニケーションが生まれ、そして、入居者と一緒にワインを楽しむことも。カラフルな部屋を入居者と一緒にDIYでリフォームしたり。入居者と大家がフラッとな立場でコミュニケーションできる関係性を構築。

 

 

住まいから街のコミュニケーションデザインに

住まいだけでなく、武蔵溝ノ口周辺の地域デザインも積極的に取り組み始めた最近。グリーンバード溝の口チーム、知っとこ!たかつ、コシガタリ、賃貸UP-DATE実行委員会。

好きな言葉は「珍しきが花」。人と違うことを怖がらずにやる。新しいもの、珍しいものに人は興味を示す。新しいことにチャレンジし続けて、街をデザインしていきたい。

【話題提供②-3】キーノートスピーチ (川崎市副市長 三浦淳さん)

川崎市政に従事した40年

川崎市役所に就職した当時、川崎の評価は内外で違った。外からはマイナスのイメージがあったが、川崎で育った私は人の繋がりも含めて良い街だし、誇りを抱いていた。

川崎駅が設置された明治5年。様々な企業も集まり、100年の歴史がある街、川崎。100年の内、40年間川崎と並走したが、時代の変わり目を掴むことが大切。就職した当時、電卓もなく、ソロバンで事務作業をしていた。時代の変化は著しい。その変化をいち早く掴むことが街づくりには重要。

 

川崎の歴史を受け継いでノーベル賞を

高度成長期を支えた京浜工業地帯。高度成長期を支えた方々が高齢化して100歳を超える方々もいて生活保護が必要な現状でもある。また、当時の経験を通じて研究してきたライフサイエンスは世界トップレベルに。近い将来、川崎のキングスカイフロントからノーベル受賞者が出るはず。

 

ハードとソフトが融合した街づくり

武蔵溝ノ口や武蔵小杉の街づくりを推進してきた。ハードとソフトの両面による街づくりが重要。そのためには、コラボレーションやコミュニケーション、つまり、協力と協働が大切。

 

グローバルの課題とローカルの課題

川崎の課題がグローバルの課題になっている。逆も然り。2015年、国連で採択されたSDGs(Sustainable Developmenet Goals)。成熟社会を目指す日本、そして、川崎。高齢化などの地域課題を行政だけでなく、市民や企業、他地域と協働することで解決し、さらには地域の魅力を高めていく。そのために新しい協働を進めている。

企業との連携: 東京急行電鉄、ぐるなび、東日本電信電話、東日本旅客鉄道、川崎信用金庫、富士通、他

大学との連携: 明治大学、慶應義塾大学、専修大学、日本女子大学

自治体との連携: 大田区、宮崎県「崎・崎モデル」、世田谷区

その他: アイエスエフネットグループ、ピープルデザイン研究所、ダンウェイ、ぐらす・かわさき、他

【話題提供③】パネルディスカッション

川崎の魅力って?

チーム川崎モラル 田村寛之 (以下、田村)

三浦副市長の話をお聞きして「協働が必要な時代になった」という言葉が印象的でしたし、「協働が必要な時代になった今、みなさんはどうしますか?」というメッセージとして受け取りました。歴史や多様性に満ちた街だからこそ協働できるという可能性を三浦副市長は示してくれたと思うのですが、みなさんが考える川崎の魅力は何でしょうか?

カワサキノサキ 長野誠さん (以下、長野)

今、大学4年生。川崎で生まれ育ち、当たり前の環境だったので魅力を考える機会はなかった。最近、グリーンバードなどの活動を通じて地域コミュニティに参加する人の多さを実感し、これが財産だと思うようになった。

グリーンバード武蔵小杉チーム 那須野純花さん (以下、那須野)

東京の高校に通学するようになり、外に出てみて初めて川崎の良さに気づいた。しかし、思い返せば、小学校の社会科見学で日本民家園や生田緑地に行って、実は多くの魅力に接していたんだと気付かされている。

知っとこ!たかつ 越水隆裕さん (以下、越水)

川崎の魅力は「伸び代」。地方の大家さんと話すと川崎のイメージは悪い。例えば、僕らも広島と聞くと、未だに原爆のイメージを抱くのと一緒。実際は違うのにイメージが先行してしまう。だからこそ、実態を知っていただくことで川崎のイメージは格段に向上するはず。

川崎市副市長 三浦淳さん (以下、三浦)

フレンドリーな点でしょうね。90年前5万人だった街が多くの方々を受け入れて今は148万人の都市になっている。言い換えれば「寛容さ」ですかね。

チーム川崎モラル 広瀬新朗 (以下、広瀬)

雑多性かな。ネガティブな意味でなく、ポジティブな意味。多様性溢れる方々が集まり、楽しく新しいムーブメントを起こしている。今回のテーマは「多世代」ですが、世代間のハードルが低いのも川崎の魅力の一つだと思う。

 

 

多世代に関する川崎のエピソードは?

田村

川崎らしい多世代に関するエピソードはありますか?

長野

昨年、シドニーに留学し、コミュニティ運営をしていた。趣味嗜好が同じな同年代が集まっていた。それに比べて、川崎は趣味嗜好も世代も違う多様性に満ちた方々が集まっているイメージがある。

那須野

川崎はアクティブな方が多いイメージ。川崎モラルのようなイベントの機会も多く、そこに集まる方々との距離感も近い。

越水

最近、川崎のアクティブなコミュニティ活動が注目されている。東京(都心部)のコミュニティはビジネスパーソンが多く、受け身の方が多い。東京で同じプレゼンテーションをしても笑いが起きない。川崎は良い意味でイナカ臭い。武蔵小杉や武蔵溝ノ口も都会

 

川崎の協働(コラボレーション)による可能性は?

田村

三浦さんは頻繁にコラボレーションという言葉を使いますが、どのような視点からなのでしょうか?

三浦

越水さんが仰っていたように都会と田舎が融合しているトカイナカな点も川崎の魅力の一つであり、ポテンシャルである。臨海部にトップ企業が集まっているがFace to Faceで話せるのは川崎だけだと言われる。東京や横浜との違い。お互いに歩み寄れる距離感の近さがコラボレーションに繋がっている。行政も自分たちの街に閉じない。多摩川や246でつながる大田区や世田谷区とのコラボレーションにより新しい価値を生み出せるはず。

 

世代の差は?

広瀬

以前は世代格差、また、世代間の隔絶が問題になっていた。最近は、この問題が採り上げられることが少ないように感じる。世代格差を感じる時はある?

那須野

人生経験が少ない私を先輩たちが受け止めてくださるので世代の差を感じることはない。

長野

世代の差は感じる。生まれた時代も環境も違うので、世代の差があるのは当たり前。お互いのギャップを知り、お互いに受け止めることが大切だと思う。そのために違う世代の方々と話す時には、まずは共通項を探すようにしている。

田村

世代だけでなく、違うことを強みにする。知らないことを武器にするというか、「知らないから教えて」と言って仲間に入れてもらう。違う視点だからこその気づきをフィードバックする。グリーンバードも出身地の横須賀では柵があるのでできない。ヨソモノだからこそ、川崎に貢献できている。

 

世代のバトンリレーは?

広瀬

企業経営に関しても次の世代に任せていくような世代交代が求められるが、街づくりやコミュニティでの世代交代について、どのようにお考えですか?

三浦

従来は世代交代という考え方だったが、今後は「世代融合」という考え方になるのではないか?バトンタッチでなく、インクルージョンやコラボレーション。コミュニティの在り方自体が変化してきているような気がする

 

ワークショップ

個人宣言

「川崎市総合計画」の戦略テーマを振り返りながら、「多世代×●●」の可能性や自分にできることは何でしょうか?

「世代が交わる街、川崎」に向けた私の宣言を書いてください。

 

  • 「多世代×歴史」を知る、を作る
  • 「多世代×キャリア」 違う人々をつなげ、多様な「生き方」を広める!
  • 「多世代×アンテナをはる」
  • 「多世代×楽しむ」
  • 「多世代×垣根をとりはらう」
  • 「多世代×熱」 熱意、吸熱
  • 「多世代×感謝」 一緒に行動する!!
  • 「多世代×行動」 異なる世代の方に苦手意識があるので、まずは“あいさつ”から“行動”
  • 期間限定ゴミ拾い命
  • 「多世代×教育」 みんなで地域で育てる
  • 「多世代×コミュニティ」
  • 「多世代×ユニバーサルな街づくり」
  • 「多世代×敬意」 おせっかい社会の実現
  • 「多世代×違×楽」
  • 「多世代×経験・実践」
  • 「世代を越えたワクワクした街づくり」 利他の心、いい街を創るという熱い想い
  • 「多世代×多様性」 人を育てる、真の豊かさ!!
  • 「多世代×当事者意識」 趣味、仕事、親子、よそ者、子育て、母
  • 「多世代×ハードルを下げる」
  • 外にいるからこそ見えること・わかることで多世代をつなぐ
  • 「多世代×つなげる」

クロージング


プログラム資料


メディア掲載

川崎経済新聞

川崎でパネルディスカッション 多世代パネリストが「シビックプライド」語る

http://kawasaki.keizai.biz/headline/39/

 

パネリストである幸区在住の大学生・那須野純花さん(19)、中原区で異業種交流会を開催する不動産管理業の越水隆裕さん(40)、三浦淳川崎副市長(63)に加え、実行委員側から20代、30代、50代のメンバーが加わり、テーマである「多世代が交わる街、川崎」について語り合った。

 

 赤ちゃんを抱っこして参加した川崎在勤の藤原基子さんは「世代間の意見や価値観のギャップは悪いものではない。違うからこそ興味を持てるし、知りたいと思うから対話が生じるというプロセスに非常に納得した」と話す。